書誌情報
評論
訳注日本史料日本後紀
著者
あらすじ・概要
平安時代初期に編纂された『日本後紀』は、『日本書紀』『続日本紀』に続く勅撰の六国史の第3番目にあたる。桓武天皇の治世の途中から平城天皇、嵯峨天皇、淳和天皇の4代にわたる42年間(延暦11(792)年正月から天長10(833)年2月まで)を漢文、編年体で記した正史は、承和7(840)年12月に成立した。しかしその後、全40巻のうち30巻は江戸時代までに散逸し、現存するのは10巻のみと六国史のうち唯一全編を現在に伝えていない。
「訳注日本史料」シリーズの一冊である本書は、史学の泰斗による最新の研究成果に基づき、逸文を集成し、現存する巻と散逸した巻を合わせ、年代順に配列するなど、可能な限り成立当初の全巻復元を試みた。厳密な校訂を経た原文に対し読み下し文を掲げ、豊富な注釈、解説を施したことで学界共有の財産といえるものとなった。
長岡京から平安京への遷都とともに訪れた平安王朝開幕期ともいうべきこの時代は、政治的にも文化的にも後の日本に大きな影響を与えた重要な時期にあたる。当代研究には不可欠な根本史料として、史学の研究者のみならず日本文化に関心をもつ多くの読者にも示唆に富む、初の全注釈本である。
右ページに原文、左ページに読み下し文を対照して配置し、基本的な情報を頭注として、詳細な解説を補注として収載し、巻末に参考となる図表と索引を付した。
菊判上製クロス装/貼箱入り/本文1,496ページ+カラー口絵2ページ