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書誌情報

集英社新書

落語の人、春風亭一之輔

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著者

著者:中村 計

あらすじ・概要

めったに人を褒めないことで知られた人間国宝・柳家小三治をして「久々の本物」と言わしめた落語家、春風亭一之輔。
21人抜きの抜擢真打であり、『笑点』の人気者でもある彼は落語界の若きエースだ。
機嫌がよくても眉毛が「ハ」の字になりがちで、どこか無愛想に見えてしまうのも持ち味。
極度な照れ屋であり、著者は〈取材をすればするほど、どんどん取材が下手になっていくような感覚に襲われた〉と懊悩する。
「ぜんぜん壁にぶつかってきていない」とあっけらかんと語る彼は挫折を知らない男でもある。
そんな天才に挑んだ計20時間以上にも及んだインタビューの果てに浮かび上がったものとは――存在そのものが「落語」な芸人に迫ったノンフィクション。

【目次】
はじめに ~長い言い訳~

一、ふてぶてしい人
前座時代の一之輔が放った衝撃のひと言/不機嫌そうに出てきて、不機嫌そうにしゃべる/「自分の言葉に飽きたらダメなんです」/挫折がなさ過ぎる

一、壊す人
YouTube著作権侵害事件/西の枝雀、東の一之輔/保守的な落語協会と、リベラルな落語芸術協会/「跡形もないな、おまえ」/師匠を「どうしちゃったの?」と驚かせた『初天神』/食わせてもらったネタ/たった一席の二十周年記念/逸脱が逸脱を生む「フリー落語」/一之輔の稽古は「うーん」しか言わない/同志、柳家喜多八

一、寄席の人
談志の弟子にならなかった理由/寄席への偏愛/寄席は落語家の最後の生息地/「捨て耳」という修行/劇っぽくなってきた落語

一、泣かせない人
人情噺に逃げるな/泣かせる側に落っこちてしまうことが怖い/泣く一メートル手前までいく人情噺/一朝は一之輔に嫉妬しないのか

おわりに ~頼むぞ、一之輔~


【著者略歴】
中村 計(なかむら けい)
1973年、千葉県船橋市生まれ。ノンフィクションライター。
『甲子園が割れた日 松井秀喜5連続敬遠の真実』(新潮社)で第18回ミズノスポーツライター賞最優秀賞、『勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧 幻の三連覇』(集英社)で第39回講談社ノンフィクション賞を受賞。
他に『クワバカ クワガタを愛し過ぎちゃった男たち』(光文社新書)、『笑い神 M-1、その純情と狂気』(文藝春秋)など。
『言い訳~関東芸人はなぜM-1で勝てないのか~』(集英社新書、ナイツ塙宣之著)では取材・構成を務めた。
好きな生き物の鳴き声ベスト3はヒグラシ、カジカガエル、アカショウビン。