書誌情報
集英社文芸単行本
若葉の宿
著者
あらすじ・概要
京都の町家旅館で祖父母に育てられた、若い女性の揺れる心情を描く「小説すばる新人賞」受賞第1作。京都の小さな町家旅館・山吹屋に生まれた夏目若葉は、父を知らず、母も幼い頃に失踪したため、祖父母に育てられた。旧来のスタイルを守り続ける山吹屋は、グローバル化の波が押し寄せるなかで、年老いた祖父母の手で細々と経営が続けられていた。旅館を継ぐ決心がつかないまま20歳を過ぎた若葉は、祖父の伝手により、老舗の大旅館で新米の仲居として修業を始める。一方、中学からの親友・紗良は、芸妓を志す。失敗を繰り返しながらも仕事を覚えていく若葉は、先輩からの厳しい叱責に戸惑い続ける日々を送っていた。そんなある日、山吹屋に買収の話が持ちかけられる。さらに、若葉が勤める大旅館にも激震が……。
第一章 祇園祭
第二章 京の老舗
第三章 晩夏の京町家
第四章 帰るべき場所
第五章 波乱の紅葉
第六章 山吹屋の誇り
第七章 おことうさん
第八章 庭のぬくもり
第九章 静かな年明け
第十章 八坂さんの祈り
第十一章 葵の記憶