書誌情報
集英社インターナショナル
科学する心
著者
あらすじ・概要
「科学についての自分の考えを少し整理し、抽象と具象の中間を行く思索を試みたいと思っていた」(本文より)大学では物理学部に籍を置いたこともある池澤夏樹。これまでも折に触れ、自らの作品にも科学的題材を織り込んできた。いわば「科学する心」とでも呼ぶべきものを持ち続けた作家が、最先端の人工知能から、進化論、永遠と無限、そして失われつつある日常の科学などを、「文学的まなざし」を保ちつつ考察する科学エッセイ。科学者としての昭和天皇の素顔や、原子力の歴史を自らの人生と重ねて考えるなど、「科学ファン」を自認する作家の本領が発揮された一冊。 ※2019年に発売した、同名の集英社インターナショナル単行本を底本にしています
第一章 ウミウシの失敗
第二章 日時計と冪とプランク時代
第三章 無限と永遠
第四章 進化と絶滅と哀惜
第五章 原子力、あるいは事象の一回性
第六章 体験の物理、日常の科学
第七章 知力による制覇の得失『サピエンス全史』を巡って
第八章 『昆虫記』と科学の文学性
第九章 「考える」と「思う」の違い 三本のSF映画によるAI論
第十章 主観の反逆 あるいは我が作品の中の反科学
第十一章 パタゴニア紀行
第十二章 光の世界の動物たち 桑島からカンブリアへ