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評論
水の匂いがするようだ井伏鱒二のほうへ
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あらすじ・概要
第17回角川財団学芸賞受賞作
井伏鱒二、生誕120年。本作では、初期から晩年までの作品を貫く、「魚」「水」「釣り」というモチーフが、いかに井伏にとって生の本質を形作っているかを明るみにし、井伏の作品群が21世紀の読者にとって思いがけないほど新鮮で強い感動を与えるにちがいないことを見事に描き出す。
「おれは、勉強しだいでは、谷崎潤一郎には成れるけれども、井伏鱒二には成れない」と太宰治が評した作家の新たな魅力を見つけよう。僕たちの新しいイブセがはじまる。
(目次より)
1 魚を尊ぶひとの芸術
2 鱒二は修業中です
3 ドクトル・イブセの翻訳教室
4 架空の日記の謎
5 こころ悩めば旅にいでよ
6 戦場のドクトル・イブセ
7 水のほとりは命のただ中
8 宝さがしの旅
9 田園に帰る
【著者略歴】
野崎歓(のざき・かん)
1959年、新潟県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授(フランス語フランス文学専修課程)。『ジャン・ルノワール 越境する映画』でサントリー学芸賞、自身の子育て経験を綴った『赤ちゃん教育』で講談社エッセイ賞、『異邦の香り――ネルヴァル「東方紀行」論』で読売文学賞(研究・翻訳賞)を受賞。主な著書に『フランス文学と愛』『翻訳教育』『夢の共有――文学と翻訳と映画のはざまで』など、訳書にトゥーサン『浴室』、ウエルベック『地図と領土』、サン=テグジュペリ『ちいさな王子』、スタンダール『赤と黒』、プレヴォ『マノン・レスコー』など多数。
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