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小説/戯曲
砂漠の青がとける夜
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あらすじ・概要
東京で雑誌編集をしていた瀬野美月は、姉が亡き父親から譲り受けたカフェを手伝うため、京都に移り住んだ。
淡々と日々を過ごす彼女の心をよぎるのは、東京での仕事と不倫相手の記憶だった。
飲食店の紹介記事で使う言葉への違和感、別れを告げた不倫相手から送り続けられるメール……。
自らの気持ちと、それを表現する言葉とのギャップが、美月の心にわだかまりとして残っていた。
そんな美月の前に、どこか現実感がなく不安定さを帯びた男子中学生が現れる。
平日の夕方にコーヒーを注文する彼は、大人びた物静かな少年だったが、あどけない面も持っていた。
二人が親しくなっていったある日、彼は他人とは異なる世界が見えることを美月に打ち明ける。
彼の話を聞くうちに、美月は自分の現実感が揺らぐ感覚を抱き、彼自身の存在さえ確かではないという思いを持つようになる。
そして、彼だけが知覚する言葉を、ノートに書き留めるようになった美月に訪れた瞬間とは——。
第27回小説すばる新人賞受賞作。
〈プロフィール〉
中村理聖(なかむらりさと)
1986年福井県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。本作で第27回小説すばる新人賞を受賞して、作家デビュー。