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小説/戯曲
雪と心臓
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あらすじ・概要
クリスマスの夜。
燃え盛る民家。
取り残された少女。
灼熱の地獄に飛び込んだ、一人の男。
炎の中から助け出された少女は、そのまま男に連れ去られた――。
新潮ミステリー大賞作家が描く、ある双子の男女にまつわる二十余年の物語。
さみしさが、ぬくもりが、心に触れる傑作青春ミステリ。
クリスマスの夜。百キロ以上のスピードで暴走する車を、二台のパトカーが猛追していた。
時は二時間ほど前に遡る。その男は、偶然、火事の現場に遭遇する。家の外で助けを求める母親。二階の窓からは、泣き叫ぶ娘の姿が見える。男はこの状況に運命を感じていた。男が取った行動は、誰も予想しないものだった。燃え盛る家の中へと飛び込んでいったのだ。それから五分足らずで、男は家から出てきた。胸には十歳の少女をしっかりと抱きかかえている。周囲から、歓喜の声がこぼれる。しかし、男が次にとった行動に周囲は唖然とした。
男は少女を母親に手渡さず、車に乗せてそのまま逃走したのだ。
【著者プロフィール】
生馬直樹(いくま・なおき)
1983年12月、新潟県生まれ。2016年「夏をなくした少年たち」で第3回新潮ミステリー大賞を受賞。そのほかの著書に『偽りのラストパス』。