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わたしの兄の本

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あらすじ・概要

一目見ればわかるとおり、この絵本の作者としてのセンダックは、
18世紀の大幻視家ウィリアム・ブレイクの直系の子孫である。
兄に、長年の伴侶に、そして世界に別れを告げるにあたって、
センダックが同時に、何のてらいもなくブレイクへの敬意を示したことが、
僕にはとても嬉しい。

――――柴田元幸

「ならば地獄へ行け! 」と
熊が吠え、空は翳り、つむじ風がとどろき、
世界は大きく冬の側に傾く―――――

モーリス・センダック、正真正銘の遺作!
兄ジャックを亡くし、最愛の人も亡くし、
自身の死をも意識したセンダックが、
魂を昇華させ紡いだ美しいイメージ!

ジャックとガイ、兄弟の生と死が交錯する物語が、
鮮やかな色彩と言葉によって描かれる。
死去する4日前まで、病床で校正紙を何度も推敲し、
ようやくOKを出したとされる、センダック最期の一冊。
柴田元幸の名訳も必見!

【著者プロフィール】
モーリス・センダック(1928-2012)
絵本作家。アメリカ・ニューヨーク市ブルックリン生まれ。
スパイク・ジョーンズによって映画化もされ世界的に大ヒットした『かいじゅうたちのいるところ』をはじめとして、80冊を超える作品を発表した絵本界の巨人。
1952年『あなはほるもの おっこちるとこ』がニューヨーク・タイムズ年間最優秀図書に選ばれたのを始め、1964年『かいじゅうたちのいるところ』でコールデコット賞、1970年国際アンデルセン賞画家賞、1982年『まどのそとのそのまたむこう』で第33回全米図書賞(児童文学部門)、1983年ローラ・インガルス・ワイルダー賞、1996年全米芸術勲章、2003年アストリッド・リンドグレーン記念文学賞、など受賞・受章多数。

【訳者プロフィール】
柴田元幸(しばた もとゆき)
アメリカ文学研究者、翻訳家。
ポール・オースター、フィリップ・ロスなど、現代アメリカ文学を数多く翻訳。また文芸誌「MONKEY」編集人など多方面で活躍している。
著書に『生半可な学者』(講談社エッセイ賞受賞)、『アメリカン・ナルシス』(サントリー学芸賞受賞)、『死んでいるかしら』など。訳書トマス・ピンチョン『メイスン&ディクスン』で日本翻訳文化賞を受賞。