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「ふつうのおんなの子」のちから子どもの本から学んだこと

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著者

著者:中村 桂子

あらすじ・概要

生きものと本が大好きな生命科学者が、幼少期から親しんだ児童文学のヒロインたちから「ふつうのおんなの子」という生きかたを取りだし、その視点から見えてくる世界と可能性について魅力たっぷりに語る自伝的エッセイ。

本文「私の中の『ふつうのおんなの子』」より
21世紀がどんな時代であってほしいか。考えてみると、最近の社会は私が望むものとはずいぶん違います。もちろん、いつの世も社会が問題点を抱えているのはしかたのないことですが、なんだかふつうの人がふつうに生きることができにくい方向に動いている気がしてなりません。私自身は20世紀を生きてきた人間であり、この世紀をそれほど長く生きることはないでしょうが、子どもや孫、さらにはその先の人々が暮らしやすい世の中であってほしいと強く願っています。
そこで私の思いを語ります。深遠な学問や数値からではなく、そんな気がする、そうであったらいいなという願いなのですが。長い間、生きものの研究を基本に「人間は生きものであり、自然の一部である」という事実を大切にする社会であってほしいと願ってきた立場から思うことです。
私は「日常の中で接するものやことをよく見て、自分の言葉で考え、納得しながらふつうに暮らす」という生きかたをしてきました。本を読んだり、考えたりするのは大好きですが、難しい抽象は苦手で、身近で小さなところに楽しみを探してきました。それを「女の子」、それも「ふつうの女の子の生きかた」と括り、「女の子が活躍する社会」になったら生きやすいのではないか、そうしたいという気持ちになっています。

【目次】
私の中の「ふつうのおんなの子」
1『あしながおじさん』の女哲学者
2『長くつ下のピッピ』の自由な生きかた
3『やかまし村の子どもたち』のふつうを絵に描いたような日々
4 おんなの子の戦争と平和
5 少女時代に読んだ本
6『若草物語』の四人姉妹
7 ケストナーと子どもの世界
8『モモ』の時間感覚
9『ハイジ』を取りかこむアルプスの自然
10『小公女』の語る力
11『赤毛のアン』を支える人々
12「虫めづる姫君」の観察眼
「ふつうのおんなの子」の未来に向かって
あとがき

【著者略歴】
中村 桂子(なかむら けいこ)
1936年東京都生まれ。東京大学理学部化学科卒業。同大学大学院生物化学専攻博士課程修了。理学博士。JT生命誌研究館館長。
著書に『生命誌とは何か』(講談社学術文庫)、『自己創出する生命』(ちくま学芸文庫/毎日出版文化賞受賞)、『あなたのなかのDNA』(ハヤカワ文庫)、『ゲノムが語る生命』(集英社新書)、『科学者が人間であること』(岩波新書)、『知の発見 「なぜ」を感じる力』(朝日出版社)、『ゲノムに書いてないこと』『小さき生きものたちの国で』(ともに青土社)、『いのち愛づる生命誌(バイオヒストリー)』(藤原書店)他多数。