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大和魂のゆくえ
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あらすじ・概要
霊や魂に関心が向けられなくなった今、日本人の精神はどこに求められるのか?
国学者・本居宣長は、漢意(からごころ)や儒意(じゅごころ)の知性より大和魂の知恵が肝要だと説いた。日本的反知性主義である。
幕末、尊皇攘夷の思想と結びついた大和魂は、戦争を契機に大いに叫ばれ、日本人の勇猛果敢な精神と捉えられた。
近世から近代にかけて強い関心が集まった大和魂だが、現在の日本人の精神はどこに求められるのだろうか。
グローバル化が成熟する今、日本での霊や魂の変遷をたどりながら、大和魂のゆくえを探る。
大和魂は、日本が外国と対峙したときに発動される。
●知性よりも知恵を重視する日本的反知性主義である。
●日本に少しでも生活した人間なら必ずやそれを宿している。
●神の定めた事柄なら善悪を超えて受け入れる必要がある。
●日本が他国に優る原因を王朝の交代がなかったことに求めた。
●水戸学と国学は尊皇攘夷のイデオロギーを生み出していく。
●松陰は自らの魂はこの世に残り続けると遺言した。
●漱石の『こころ』に出てくる「明治の精神」は大和魂(大和心)と極めて近いものである。
●折口の説は天皇霊という考え方を導入して天皇の神聖性を強調した。
●祖霊は冬は山の神、春は田の神となって子孫の生活を見守っている。
【目次より抜粋】
1章 現在の問題として考える
2章 大和魂とは何か
3章 国学、本居宣長が考えたこと
4章 平田篤胤による魂のゆくえ
5章 国体、吉田松陰を軸として
6章 戦争が大和魂を叫ばせた時代
7章 大和魂の帝国
8章 柳田國男がまとめあげた先祖という神
9章 首だけの三島由紀夫
【著者略歴】
島田裕巳(しまだ ひろみ)宗教学者、作家。1953年、東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員などを歴任。主な著書に、『葬式は、要らない』『浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか』『靖国神社』(以上、幻冬舎新書)、『創価学会』『世界の宗教がざっくりわかる』(共に新潮新書)、『0葬』(集英社)、『映画は父を殺すためにある』(ちくま文庫)など多数。