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随筆/ノンフィクション/他
生命の旅、シエラレオネ
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あらすじ・概要
ひとつでも多くの生命を救いたい。
国境なき医師団の小児科医のエボラとの壮絶な戦いや葛藤、かわいい患者のこどもたちの姿を通し、生命とは何か、利他とは何かを問う感動のノンフィクション。
凄惨なエボラの現場で、生きる意味を見失っていた医師は再生へと導かれていった——。
2014年、西アフリカのシエラレオネ。人類と、致死率60%とも90%とも言われるエボラとの戦いは想像を絶していた。人員も設備も不足した現場では、誰に看取られることもなく、多くの命が失われていく。
著者はこの数カ月前、南スーダンで活動していた。溢れかえるマラリア患者、病室の床まで埋め尽くす新生児破傷風患者などが、バタバタと命を落としていく。その現状に圧倒され、無力感と敗北感に囚われ帰国。帰国後は、PTSDに苦しみ、生きる意味を見失い、仕事や家族など多くの大切にしてきたものをも手放した。
そんななかで参加したエボラの活動。
40度近い気温のなか、防護服と二重の手袋、ゴーグルを着けて何リットルもの汗をかきながら治療にあたったが、できることは限られている。ここでも医師としての無力感に苛まれ、国際社会への疑念も生じた。だが家族をなくしながらも必死にエボラに立ち向かい、他のこどもの看病をするこどもたちとの関わりを通して、著者の生きることへの疑問は次第に薄れていく。
しかし、そんな著者を待ち受けていたのは意外な結末だった。
世界が新型コロナや戦争に揺れるなか、私たちは、自国や自分の利益を離れて行動することができるのだろうか。危機的な状況に置かれた今だからこそ、伝えたい。
第20回開高健ノンフィクション賞最終候補作。
さだまさしさん絶賛!
【目次より抜粋】
第1章 喘ぎ/感触/シエラレオネ
第2章 脱走/エボラ/爆弾/トリアージ/アウトブレイク/視界
第3章 志望動機/イサトゥ/ 絶望/生命/急変/ソリー/ナイロビ・フライ
第4章 ソリーッ!/痙攣/1250グラム/通達/強制帰国
第5章 命の選択/砂漠に水を撒く/終わりと始まり/ヤブ医者
加藤寛幸(かとう・ひろゆき) 小児科医。人道援助活動家。1965年、東京都生まれ。
北海道大学中退、島根医科大学(現・島根大学医学部)卒。シドニー・ウエストメッドこども病院、静岡県立こども病院などで小児救急、小児集中治療に従事。タイ・マヒドン大学にて熱帯医学ディプロマ取得。2003年より国境なき医師団の活動に参加し、アフリカやアジアの他、国内の災害支援にも従事。2015年〜2020年、国境なき医師団日本会長。2022年、ウクライナでの活動に参加。