2021.06.17
ファッション誌『non-no』が創刊50周年。次の半世紀も読者の「はじまり」に
長きにわたり女子大生から支持を集める『non-no』の魅力
大学生をメインターゲットとする女性ファッション誌『non-no』が創刊されたのは、1971年5月のこと。1970年代中期から1980年代には「アンノン族」と呼ばれる女性たちの登場が社会現象になり、雑誌隆盛期の1990年~2000年代には発行部数が100万部を突破。これまで『non-no』は女性ファッション誌のスタンダードとして、社会に大きな影響を与えてきました。
このように長い歴史を紡いできた『non-no』が変わらず大切にしてきたものが「可愛い」へのこだわり。しかも、『non-no』が目指す「可愛い」は、外見を磨くことだけでなく、自分の生活や将来について考え、様々なことに好奇心を抱くことで磨かれる、主体性を持った「可愛い」なのです。
この「可愛い」は、『non-no』を語るうえで欠かせないノンノモデルの存在にも大きく関わっています。これまで『non-no』はモデル活動をきっかけに、様々な世界で活躍する女性を数多く輩出してきました。 “かわいさ”や“華やかさ”が魅力なのは当然のことながら、そこに“品格“や“意思“が感じられることもノンノモデルの大きな強み。モデルの芯の強さと、その個性を伝える企画が『non-no』らしさを形作っています。
欠かさない読者に寄り添うためのリサーチ
雑誌が売れないと言われる時代の中でも『non-no』が根強い人気を誇っている理由は、読者への「リサーチ力」にあると考えています。
『non-no』では記事を作る際に、読者へのヒアリングを欠かしません。ヒアリングの手法は、統計的なデータが得られるアンケート方式もあれば、リアルな声が聞ける対面インタビューを実施することも。コロナ禍の現在でもオンラインに形を変えて、毎月定期的に大学生たちと読者会を行っています。そのヒアリングの内容は常に変わらず、「大学生は今何を感じ、どのような気持ちでいるのか?」ということ。ファッションについてはもちろん、大学生のリアルな生活や悩み、将来のことについてなどにも丁寧に耳を傾けています。
そうしたヒアリングの結果、たとえば昨今では、学校や学部ごとに異なるリモート授業と対面授業の割合によって、大学生の意識とライフスタイルが大きく異なるという実情が浮かび上がってきました。その変化は「大学生の就職や仕事に関する意識」をテーマにした特集などダイレクトに反映されることもあれば、「秋から対面授業が増えそうだから、ワードローブ構成のテーマを」など、どういった服やコーディネートが求められているのかの“気づき”にもなり得るのです。
紙とデジタル、お互いの良さを活かして
2010年代はスマートフォンの普及によって、大学生の生活に大きな変化がありました。誰もが日常的にデジタルコンテンツへアクセスできる時代においても、デジタルではなく紙の雑誌で情報を収集している読者は、ファッションや美容への感度が非常に高く、自分が買いたいものや探したいものが明確です。そのようなモチベーションが高い層に向けて、誌面ではレイアウトや写真にこだわり、「紙だからこそ楽しめるビジュアル」を追究した雑誌作りを展開しています。
一方で、若い世代へのリサーチを続けてきた『non-no』は、紙の雑誌だけではなく、デジタルコンテンツの充実も図ってきました。その結果、現在の『non-no』公式SNSのフォロワー数は同業界の中でもトップクラス。ノンノモデルによるインスタライブや、雑誌の表紙を決めるSNS投票といった読者参加型の企画は反響も大きく、デジタルならではのインタラクティブなコミュニケーションを実現しています。
新たな半世紀も読者の「はじまり」を応援
『non-no』編集部が読者リサーチを通して実感しているのは、若い世代のソーシャル・イシューへの関心の高さ。読者の「社会に対してなにか働きかけたい」という思いに応え、さらにより多くの若い世代が『non-no』から何かを考えるきっかけとなるように、様々な思考を深めるための特集も組んでいます。
その一例として、読者に最も届きやすいと感じるのは著名人へのインタビュー形式の記事です。2021年6月号では、お笑い芸人・バービー氏に、ジェンダーに関する話題や女性ならではの性の悩みなどについて率直に語っていただき、多くの読者からの反響がありました。また20代前半での出産に憧れる人が増加していることを受け、ぺこ&りゅうちぇる夫妻にインタビューした記事「20代で親になるということ」は、「non-no Web」内の人気記事ランキングで1位を獲得しました。時代の変化の中で、若い世代の意識や価値観の変化を掬い上げる記事が注目を浴びるようになっているのです。
『non-no』は今後さらに読者との接点を増やしていくため、動画コンテンツを拡充する予定です。現在、YouTubeやInstagramのリール機能などを積極的に活用する企画を進めており、今以上にSNSでのコンテンツの活性化について考え、実行していくことが『non-no』の51年目のテーマの一つです。
50周年を迎えた『non-no』のキャッチコピーは、「はじまりはノンノでした」。
「『non-no』がきっかけでファッションに興味を持った」「『non-no』ではじめてメイクを覚えた」など、『non-no』は半世紀にわたって多くの女性たちの「はじまり」を応援してきました。51年目以降も、読者の「はじまり」を応援し、寄り添えるよう努めていきます。