2023.05.15

シェア

人気作家がプロの視点で本気で選考する「高校生のための小説甲子園」

全国から若い才能が集結する甲子園方式のコンテスト

高校生を対象にジャンル不問で短編小説を募集する「高校生のための小説甲子園」。全国を7つのブロックにわけて予選を実施し、本選を行なって優秀賞を決める、まさに甲子園方式の小説コンテストです。

小説甲子園

2020年に誕生したこの賞は、「高校生を対象とした小説のイベントをしたい」という、作家の湊かなえさんの発案によるもの。事前に募集した作品だけを選考の対象とするのではなく、本選ではワークショップを行って課題に取り組んでもらう、ユニークな選考方式が特徴です。

選考委員はミステリーの旗手である湊かなえさんと、集英社の文芸・文庫編集部。残念ながら第1回はコロナ禍のために本選は中止されましたが、第2回はリモートでの開催となり、昨年、第3回にして初めてブロック代表者たちが東京の集英社に集結。北海道から沖縄まで全国各地から集った7名が参加する本選が行われました。

プロの作家として必要な武器を身につけるワークショップ

その年によって課題の内容は変わりますが、第3回は「文章にお金を払って手に取ってもらうプロになるために、自分の武器を知ってほしい」という湊さんの思いから、「編集者の客観的な目」を持つための課題が出されました。

ご指導くださった湊かなえさん

ご指導くださった湊かなえさん

たとえば、ひと口食べると死にいたる毒りんご、食べた相手が最初に見た人を好きになる惚れりんご、甘くみずみずしいりんご、それぞれの“売り文句”を考える課題。これはりんごの特性から一度目を離し、誰に届けたいのか、ターゲットを意識する訓練に。「たったひと口で永遠の安らぎを」「あなたはもう、誰にも嫌われない《数量限定「惚れりんご」》」「じゅわりと広がる蜜の味、このおいしさは今限り」など、出席者からはバラエティ豊かな回答が集まりました。

また、ライバルの作品を読み込み「印象に残った一文」を抜き出したり、「ブロック代表作が書籍化された際の帯に書く一文」を考える課題も。他人の文章を読んでその人の長所を見つける訓練により、自分自身の武器も見つけやすくなるとのこと。湊さんは7人の高校生たちと1日かけてじっくり向き合い、それぞれの武器や特性、課題を丁寧にアドバイスしてくださいました。

ワークショップの様子

現役の人気作家から直接講評をもらい、文章を書く際の視点やテクニックを学べる機会はそうありません。無限の可能性を秘めた若い才能にとって、得難い経験になったはずです。優秀賞に選ばれたのは、東海・北信越ブロックの『まどろみの星』(展上茜・著)でしたが、ほかの6編も甲乙つけがたい作品だったとのことです。

湊かなえさんからバトンを受け継ぐのは村山由佳さん

現在は第4回の作品を募集中。10月初旬に各ブロック代表7名が発表され、その後、本戦が集英社にて実施されます。選考委員は、湊さんから村山由佳さんにバトンタッチ。人間ドラマの名手による本戦、今年はどういうワークショップになるのか、編集部も楽しみにしています。

バトンを受け継ぐ村山由佳さん

バトンを受け継ぐ村山由佳さん

「高校生のための小説甲子園」を通し、文章を書く喜びと本を読む楽しさを若い世代に伝えていきたい。そして授賞者たちの中から、未来のプロの小説家が生まれることを期待して…。集英社ではこれからも、フレッシュな若い才能を全力で応援していきます。

「高校生のための小説甲子園」はこちらから
https://lp.shueisha.co.jp/koushien/

一覧に戻る