2023.12.15
マンガの世界に没入する新感覚ミュージアム「マンガダイブ」
『キングダム』の世界観を体感できる企画展
「週刊ヤングジャンプ」で連載中の大人気マンガ『キングダム』(原泰久・著)のコミックス累計発行部数1億部突破を記念した特別企画展「マンガダイブ『キングダム』1億の光」が、11月21日〜12月9日の間、東京・表参道スペースオーで開催されました。「マンガダイブ」とは、先端テクノロジーを駆使して空間全体に映像と音響を展開し、マンガの世界に没入させる新感覚のミュージアム型展示のこと。
今回の会場は5つの体験ブースで構成。目玉となったのは、周囲360度と床の全5面に約25分間の映像が投影されるイマーシブ(没入)体験ブース。単行本既刊70巻の中から1万ページ以上の画像データを取り込み、天下の大将軍を目指す信や中華統一を目指す政ら主要キャラからモブまでを壁面と床面の“スクリーン”に投影。立体音響によってダイナミックな没入感を創出しました。
ほかにも、音や映像に合わせて床が振動する最新技術・ハプティクスを使用したブースや、名シーンの名セリフがプロジェクションマッピング空間に表示されるインタラクティブアート、スマートフォンをかざして楽しむARマンガ体験などが展示されました。
コンテンツを進化させる「集英社XR」プロジェクト
手掛けたのは、集英社のXR事業開発課、通称「集英社XR」チーム。「週刊少年ジャンプ」創刊50周年プロジェクト(2018年)を企画した際、ファンを熱狂させる“原画”の力を再認識したことをきっかけに、それをXR(超越現実)で進化させるべく2021年に発足しました。
「マンガダイブ」は、誌面上で創出してきた集英社のマンガコンテンツに最新テクノロジーを掛け合わせ、今までにない驚きや体験、メディアの未来を追求する「集英社XR」プロジェクトの一環です。
初お披露目となったのは、2022年12月の「ジャンプフェスタ2023」。2023年7月には「ジャンプビクトリーカーニバル2023」で『呪術廻戦』を、さらにパワーアップさせた「マンガダイブ2023夏SHINJUKU」(7月〜8月)では『SPY×FAMILY』『チェンソーマン』『ダンダダン』の3作品を上映しました。
2023年10月には、アメリカでも最大規模のマンガ・アニメの祭典「ニューヨークコミコン」に出展し、海外のマンガファンを熱狂させました。2023年12月〜2024年3月には、東京・日本橋の室町三井ホールをイマーシブ空間にし、新たな「マンガダイブ」展を開催予定。全期間を3つに区切り、それぞれ順に『キングダム』(23年12月24日〜24年1月10日)『【推しの子】』(24年1月13日〜2月16日)『SPY×FAMILY』(24年2月21日〜3月24日)の3作品で展覧会を構成します。
原作者はもちろんファンも納得させるクオリティ
マンガを「マンガダイブ」として表現する際、大切にしているのは原作の文脈や意図をしっかりと読み取り、反映すること。マンガは本来、コマ割り自体に意味がありますが、コマごと画像データとして切り取り取り込むと、文脈を一旦分解することになります。原作の作家のみなさんは、この新しい挑戦を好意的に受け止めてくださっていますが、担当編集者としっかりと協議して、原作の世界観を壊さないように進めています。ご来場いただくファンの方々も作品に対して各々の解釈や深い愛情を抱いているので、どこにフィーチャーし作品の魅力を“拡張”させればより楽しんでいただけるのか、作品、シーン、キャラクターごとに異なる正解を都度模索しています。
イマーシブ・ミュージアムは、昨今北米やヨーロッパで人気が高まっているため、これまでの「マンガダイブ」イベントにも多くの外国人観光客が来場しました。「マンガダイブ」の技術を使えば、会場の形や大きさにかかわらず、イマーシブ空間を作ることが可能なので、今後は国内のみならずグローバル展開し、あらためて多くの海外の方にマンガの魅力を届けることを視野に入れています。
テクノロジーを掛け合わせて生み出す、新たなマンガ体験
「集英社XR」プロジェクトでは、「マンガダイブ」のほかにも「Pokémon GO」や「モンスターハンターNOW」を手掛けるAR企業ナイアンティックとの取り組みも検討中。さらに中国の大手IT企業テンセントの大型メタバースプラットフォーム上に『ONE PIECE』のアバターショップを作り、大きな反響を得るなど、仮想空間領域における新しい挑戦にも取り組んでいます。
雑誌やコミックスを“読む”体験だけでなく、先端技術を掛け合わせて新たなコンテンツのあり方を再構築する「集英社XR」の取り組みによって、マンガの魅力をさらに広く、グローバルに発信してまいります。
マンガダイブ
https://mangadive.jp/