2024.03.15
「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」がマンガアートを展示・販売する常設ギャラリーをオープン
外国人観光客やアートコレクターからも人気
日本が生んだ豊かなマンガ文化を後世へ継承するべく、「マンガ」と「アート」そして「文化」をつなぐプロジェクトとして、2021年にスタートした「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」。その初めての常設展示場「集英社マンガーアートヘリテージ トーキョーギャラリー」が、2023年11月24日、東京・麻布台ヒルズにオープンしました。
「SMAH」は、高解像度デジタルカメラを使ってマンガの原画を取り込み、デジタルレタッチした「Real Color Collection」や、現在では希少となっている大型の活版平台印刷機を用いた「The Press」シリーズなど、原画を「マンガアート」に再構築した作品をウェブサイトで販売してきました。リアルギャラリーの開設によって、それらはファンのみならず、外国人観光客やアートコレクターなど、これまでマンガに接する機会のなかった人の目にも触れるように。マンガアートが芸術作品として評価され、文化的な価値を高めるきっかけの場となっています。
プレゼンテーションできるのがリアル展示の魅力
紙が印刷機の中を通る様子をイメージし、曲面を多用したギャラリーでは、展覧会ごとに作品を変えて展示、販売。2023年11月〜2024年2月まで行われた「尾田栄一郎『ONE PIECE/Regenesis』」では、『ONE PIECE』第1話の冒頭シーンを、戦後から1970年頃まで使われていた金属板による刷版でプリントしたアート作品が展示されました。吹き出し部分を糸のこでカットし活字を埋め込む制作工程のムービーも公開されています。
「The Press」シリーズと「Real Color Collection」も展示し、すべての作品に超低反射のアクリルを使用。ラウンジスペースでは、自然光にもっとも近いLEDを照明に使うことで、紙の質感までもリアルに感じられます。また、それらを納める額も輪島塗やアフリカ黒檀で制作するなど、随所にこだわりが詰まっています。
3畳の茶室「阿庵(A-an)」には、雨をイメージした音と光で「久保帯人『BLEACH/The Millennium』」を展示。伝統的な手法を用いて手すきの美濃紙を制作し、100年以上色が保たれることが唯一歴史的に実証されているコロタイプと呼ばれる技法で印刷。深い黒を表現するために特色9版のプリントを施しました。深大寺(東京・調布)の書院で友吉鶴心による薩摩琵琶演奏とのコラボレーションを実施してプロモーションビデオを制作。あわせて深大寺・元三大師堂にて護摩祈祷を行いました。
制作の背景を直接プレゼンテーションできることは、リアルギャラリーならではの魅力です。
マンガの歴史や作品の背景を後世に伝える
一般的にアートは、「誰が・どんな技法で・何を描いたか」がマーケットにおいて重要です。一方でマンガは「何を描いたか」は知られていますが、「誰が」「どんな技法で」の部分はあまり知られていません。その豊かなストーリーを伝えていくことも、「SMAH」の使命だと考えています。
活版平台印刷などのマンガの歴史を物語る希少技術や、日本の様々な伝統文化と掛け合わせることでも、作品のストーリーは豊かになり、アートとしての可能性は広がっていきます。また、NFTブロックチェーンなどの最新技術を取り入れながら、マンガアートの文化的価値を永続的に高める取り組みも継続。「マンガを受け継がれていくべきアート」にするべく、これからも新たなチャレンジを続けていきます。
※ギャラリーの展示内容は時期によって変わります。事前にご確認ください。
https://mangaart.jp/ja