2025.03.14

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フレッシュかつ濃密なライト文芸レーベル「集英社オレンジ文庫」が創刊10周年!

コバルト文庫を前身として2015年に誕生

“物語好きに贈るライト文芸レーベル”として2015年に誕生した集英社オレンジ文庫は、2025年で10周年を迎えました。ライト文芸とは、読みやすい文章と明快なストーリー、魅力的なキャラクターが特徴的なエンタテインメント小説のこと。20~40代を中心とした幅広い年代の、主に女性読者に愛されています。

少女小説やファンタジーを中心にコアなファンの心を掴んできた老舗レーベル・集英社コバルト文庫(1976年創刊)から派生し、時代に合わせ、よりバラエティに富んだジャンルを取り扱っています。その名の通りみずみずしくフレッシュな読み心地でありつつ、濃密な「読書時間」に没頭できる。そんな作品が揃っています。

柱となるジャンルは大きく分けてふたつ。ひとつめは恋愛や青春、お仕事、ごはん、謎解きをテーマにした“現代もの”です。高い人気を誇る『宝石商リチャード氏の謎鑑定』シリーズ(辻村七子・著)、『どこよりも遠い場所にいる君へ』シリーズ(阿部暁子・著)、どちらもお仕事ものとしてドラマ化された『これは経費で落ちません!』シリーズ(青木祐子・著)や『それってパクリじゃないですか?~新米知的財産部員のお仕事~』シリーズ(奥乃桜子・著)など、読者が身近に感じる日常的なテーマからヒット作が生まれています。

第二の柱は“ファンタジー・歴史もの”。2022年にアニメ化された『後宮の烏』シリーズ(白川紺子・著)を筆頭に数多くの作品があり、現在は、『十番様の縁結び』シリーズ(東堂燦・著)、『掌侍 大江荇子の宮中事件簿』シリーズ(小田菜摘・著)などが人気。

ジャンルを問わずオレンジ文庫作品全般において言えるのは、主人公が受動的に「幸せを待ち焦がれる」のではなく、主体的に「未来を切り拓く」存在として描かれていること。1980~1990年代に人気を博したコバルト文庫の少女小説は、女性作家たちが女性の言葉で、女性のための物語を紡いだのが始まり。オレンジ文庫は時代を超えて、少女小説の精神も受け継いでいるのです。

新人賞から発掘・育成する才能豊かな作家陣が強み

オレンジ文庫の強みは才能あふれる綺羅星のような作家たち。1983年に始まり、42年の歴史を持つ「ノベル大賞」は、唯川恵氏をはじめ、数多くの作家たちを輩出しました。また、原稿用紙30枚で気軽にチャレンジできる「短編小説新人賞」(ノベル大賞同様1983年から開始、年4回開催)でも、白川紺子氏や松田志乃ぶ氏らあまたの才能を発掘してきました。
「短編小説新人賞」の大きな特徴としては、最終候補作品と選考の模様をホームページ上で公開し、選考委員と編集部員たちの選評がフルで掲載されていること。応募者が次の作品の執筆に生かせるよう改善ポイントを惜しみなく伝えることで、新たな書き手の育成に力を入れています。
なお、選考委員を14年間務めた三浦しをん氏の著書『マナーはいらない~小説の書きかた講座~』には、この短編小説新人賞で語られた珠玉のアドバイスがぎゅっとまとめられています。

10周年は人気シリーズの復刊も! 第三の柱として10代向けも準備中

10周年イヤーとなる2025年1月からは、コバルト文庫で一時代を築いた作家・氷室冴子氏の伝説の古代転生ファンタジー『銀の海 金の大地」(全11巻)を毎月1冊ずつ復刊。1992年の初版時にもイラストを担当した飯田晴子氏が、カバーと挿絵を現代風に描き下ろしています。

若者の読書離れが進んでいる昨今、ライト文芸は読書の楽しさを知る入り口として最適です。オレンジ文庫の公式ウェブサイトには、読書ビギナーにも興味を持ってもらえるよう、小説の冒頭を漫画で読める無料の「試し読み」を載せているのもこだわりです。

さらに今後は、10代向けの作品も増やしていく予定。大人の鑑賞眼に耐え得る密度の高いエンタテインメント作品はもちろん、未来の本好きにもおすすめできる幅広いラインナップを充実させていきます。

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