2010年入社。セブンティーン編集部に配属された後、4年目に翻訳書編集部という衝撃の異動。もともと海外の児童文学は通ってきていましたが、ほとんど新しい世界でした。そこから海外作品の面白さに目覚め、いまは文芸書編集部で海外翻訳作品と日本の作品の単行本両方を担当しています。
趣味は海外ひとり旅(最近は円安であまり行けていませんが……)と美術館めぐり。そのほか編み物や刺繍などの手芸、街歩き系の謎解きイベント、登山など、わりとなんでも軽率に手を出します。
社員紹介
S.K.翻訳書担当
2010年入社。セブンティーン編集部に配属された後、4年目に翻訳書編集部という衝撃の異動。もともと海外の児童文学は通ってきていましたが、ほとんど新しい世界でした。そこから海外作品の面白さに目覚め、いまは文芸書編集部で海外翻訳作品と日本の作品の単行本両方を担当しています。
趣味は海外ひとり旅(最近は円安であまり行けていませんが……)と美術館めぐり。そのほか編み物や刺繍などの手芸、街歩き系の謎解きイベント、登山など、わりとなんでも軽率に手を出します。
海外市場では、書籍のテキスト、つまり物語そのものが商品として扱われます。私の仕事は書籍の翻訳出版権を権利者から買い、日本向けにプロデュースすること。国内外の版権エージェントからの紹介や、国際ブックフェアでの海外出版社とのミーティング、あるいはネットで出会った外国の書籍の内容を検討し、権利者と契約を結びます。そこから翻訳者の方に翻訳を依頼して出来上がったものを編集、日本向けの装丁や宣伝文句でパッケージングして本にするという、ひとりプロデューサーのような仕事です。
実際にはその編集作業はとても地味で、ひたすら訳文に向き合う忍耐と根性の世界です。とはいえテキストに没入するのが好きなタイプなので、フラフラになりながらも楽しい時間でもあります。
今年担当した、『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』(ファン・ボルム著・牧野美加訳)が本屋大賞の翻訳小説部門を受賞しました。写真は授賞式にお越しいただいたファンさん・牧野さんと一緒に撮っていただいたものです。この本はソウルで小さな書店を営むことになった女性を主人公にした心温まる物語。もともと韓国のベストセラーというふれこみでした。
翻訳出版は予想の難しい分野です。海外の人気作品の版権は他社と競合になることも多く、仮にオークションで出版権を勝ち得たとしても、必ずしも日本で見合う結果を出せるとは限りません。本の内容はもちろんのこと、その読者層、ページ数と価格、あらゆるものを天秤にかけ、決断をする必要があります。そういう意味では、本書は悩ましい位置にありました。
でもどうしてもこの本を出版したかった。日韓で共通する現代社会の息苦しさとクオリティ・オブ・ライフの問題を描きつつ、本が様々な人の救いになる物語は、きっと日本の読者の心の支えになるだろうと思ったのです。編集部で相談し、勝負に出ることになりました。
結果として本書は日本でも多くの人に愛される本となり、栄えある賞をいただくこともできたわけですが、これも著者のファン・ボルムさんと翻訳者の牧野さん、装丁のアルビレオさん、集英社の販売・宣伝・広報といったビジネス部門の皆さん、推してくれた書店員さん、たくさんの人々のご協力のおかげです。普段は孤独な作業の多い翻訳出版編集ですが、同じ方向を見つめるチームワークの大切さを実感した出来事でした。
毎年10月半ばにはドイツ・フランクフルトの国際ブックフェアに出張し、各国の出版社や版権エージェントとミーティングをします。今年も素敵な本に出逢えますように!
ホテルで朝食をとる。モリモリ食べないと一日もちません。時差があるので、寝ている間に届く日本の仕事のメールもチェックします。
フランクフルト・メッセに移動、30分区切りでミーティングが開かれます。すべて英語です。
ミーティング会場はメッセ最奥のライツセンターであることがほとんどですが、場合によっては別ホールにあるブースまで出向くことも。
空き時間で会場散策。今年の目玉の本は何か、どういったブースがあるのかを見てまわります。空き時間が長い場合は、市街地に行って書店も確認しています。
やっと昼食!と同時に、この後会う権利者から事前に送られてきているリストも再度確認しておきます。
集英社ブースにて休憩。
集英社ブースの前を通り過ぎる。
本日のミーティングが終了。
他の集英社スタッフと合流して夕食。
就寝。お疲れ様でした! 今日知った新しい物語たちについては、後日じっくり検討します。日本に新しい本を紹介できる日が待ち遠しいです。
就職活動は相性です。たとえ1社落ちたとしても、あなたという人間の価値が損なわれるわけではありません。ちなみに私は新卒のとき、出版社は集英社1社しか受かっていません。よく食べてよく寝て、企業研究だけは怠らず、その企業がどんな人と一緒に働きたいか、あなた自身のよさをどうやったら発揮できるか考えたうえで、集英社とあなたの相性のよさをぜひアピールしてください。
※2024年9月に取材した内容です。